人魚の眠る家 レビュー【★4】【感動/脳死/親子愛】

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基本情報

作品名 人魚の眠る家
ジャンル① 一般小説
ジャンル② 人間ドラマ、社会問題、医療、科学技術
出版社 幻冬舎文庫
著者 東野圭吾
作品紹介ページ 幻冬舎文庫HP

評価

総合評価 ★★★★ 最近映画化もされて話題になっている作品ですね。今回は脳死と臓器移植といった重いテーマ。人の死をどう捉えるのか、母親としての立場から、色々な社会事情も踏まえながら考えさせられる作品です。テーマ的にはどうしても重く、暗くなってしまうけど、結末は割とすっきりしています。めっちゃ感動しました。
ストーリー ★★★★ 「オーソドックスな面白さ」「安定して面白い」という、いかにも東野圭吾作品的な印象。特に斬新だったり珍しい設定・展開はないのに、ただただ面白い。小説作りの基本がしっかりしているからでしょうか。作者の得意分野である科学的な要素も自然に入れ込めているのが凄い。
文体・設定 ★★★★ 専門知識を素人(読者)にも分かりやすく描写する技術は相変わらず秀逸ですね。ここら辺、人気作家さん達の共通点のような気がします。今回はあっと驚くような設定・展開はありませんが、ストーリー同様に安定した面白さがあります。

作品紹介

「娘の小学校受験が終わったら離婚する」。
そう約束していた播磨和昌と薫子に突然の悲報が届く。

娘がプールで溺れた――。
病院で彼等を待っていたのは、〝おそらく脳死〟という残酷な現実。

一旦は受け入れた二人だったが、娘との別れの直前に翻意。
医師も驚く方法で娘との生活を続けることを決意する。
狂気とも言える薫子の愛に周囲は翻弄されていく。

寸評

今回は東野圭吾作品「人魚の眠る家」です。

こちらは旅行で飛行機に乗る際に
移動時間に何か気軽に読める物を…ということで
なんとなく手に取った物です。

前にいつだか書いたかもしれませんが
大体そういった時は東野圭吾作品を選んでいます。
基本、どんなものでも外れがないと思っていますからね。

買った当時は全然知らなかったんですが
11月から映画化されているみたいですね。

映画『人魚の眠る家』公式サイト
※リンクすると予告動画が始まるので音量注意。

そんな前情報など一切なくても楽しめるのが東野圭吾作品。
本作品も、その通りでした。

今回扱っているのは「脳死」。
必然的にそれに付きまとってくる「臓器提供」ですね。

「脳死」を人の死として受け入れることが出来るかという
非常に重いテーマですね。

脳死は、法律的には「死」と定義されており、本人の意志又は遺族の意志があれば
必要とされている人達へ臓器が提供される、ということになっています。

但し脳死の可能性が濃厚と疑われる場合でも
脳死判定を行わないということも出来るため
結果的に「脳死」とされることを回避することも出来るらしいです。

つまり本当は脳死しているかもしれないけど
その確認はしないまま「植物状態」ってことにして
延命処置を続けるってことですね。
こうすると法的にも「生存」という扱いになります。

脳死している場合だと、髪や爪は普通に伸びるし、排泄もするし
外傷がなければ、本当に眠っているだけのように見えるらしいです。

だとすると、その状態を死んでいると受け入れるのは
親の立場からすると、難しいかもしれません。

ただその一方で、臓器提供を待っている患者は
世界を見ても行列待ち状態。

一刻も早い処置が必要な患者も多くいる中で
圧倒的に足りてないという現状もあります。

だからといって
自分の子供の臓器を、はいどうぞ…ってわけには
簡単にはいかないですよね。

でも主人公の夫婦は
事故で意識不明になった娘の脳死を、1度は受け入れます。

但し、最後の最後で母親がそれを拒絶。
脳死判定を拒否します。
そんな母親の希望となったのは、最新の科学技術。

肢体不自由者向けのリハビリ装置を使うことで
意識が無い娘に、自分で手足などを動かさせることはおろか
表情を変えさせることまで成功します。

意識が無いだけで
本当に生きているかのように扱う母親。

ただそのように娘を扱う様を
人形遊びと同じことだと
もう死んでいるのにそれを受け入れられないだけという
常識的且つ冷酷な言葉。
周囲の親戚だけではなく、家族からもそう詰め寄られてしまいます。

そうして追い詰められた母親が取った行動と問い掛け。
ラストシーンは、衝撃的でした。

その場にいた登場人物達は何もできませんでしたが
リアルに私がその場にいても固まっていたと思います。

それだけ、その母親の最後の問いかけは
重くて深くて、「常識」という一言では
片づけられないものでした。

そして最後に母親が出した結論は、ごく普通のもの。
でも、そのラストシーンの後だと、ものすごく感動出来ます。

作品紹介には「狂気」と書かれていましたが
私の感想としては、母親は狂っていたとは思えませんね。
最初から最後まで、ただひたすら娘を愛しただけ。
その愛情は普通よりも深かったかもしれませんが
母親が正気だったことは、最後の結論からも明らかです。

まとめ

とても面白い作品でした。
東野圭吾作品の特徴らしく
当たり前に面白く、当たり前に感動出来た作品です。
その中で、深いテーマについて考えさせられたりしました。

知らなかった分野を知るといういった
知識欲的な面白さも合わさって、是非読んでいただきたい。

こんなん、映画館でBGMとか交えて観たら
号泣必至ですやん。

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