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Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─ レビュー【★4】

基本情報

作品名
※タイトルクリックで作品ページへ
Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─
ジャンル① ライトノベル
ジャンル② ダークファンタジー、ハイファンタジー、兄妹、戦争、恋愛、復讐劇
掲載サイト 小説家になろう
レビュー範囲 全編
著者 MST(Twitter

評価

総合評価
★★★★
・重厚且つ濃厚なハイファンタジー作品。王道な設定が◎。
・ダークファンタジーっぽく、重苦しくて生々しい心情や人間関係の描写が面白い。
・特に主人公の成長・変化は必見。その経過が丁寧に描かれている。
・程よい話のテンポや描写で、中編(約10万文字)の作品として綺麗にまとまっている。
ストーリー・設定
・設定が練り込まれているファンタジー世界観にも関わらず、説明がくどくなくて分かりやすい
・王道の流れながら、途中でいくつか意表を突かれる場面が盛り込まれている。
・標榜通りの重苦しいダークな作品だが、不思議と読んでいても陰鬱な気持ちになることはなかった。
・未来に希望を予感させられる終わり方も、個人的にはとてもよかった。
キャラ
・主人公チェントの心理描写が丁寧。本作品の最大の魅力。
・チェントには、賛同は出来なかったが、つい感情移入してしまうほど。
・端役の使い方が秀逸。どのキャラも良い意味で兄妹の引き立て役になっており、それぞれの魅力も持っている。
文章
・前半の淡々とした語り口は、きれいにまとまっているが物足りないと感じることも。
・しかし全てを読み終えた時、それは意図されだものだと分かる。
・中編までの淡々とした描写とは打って変わって、終盤のバトル展開は熱い。迫真のバトルシーンが展開される。

あらすじ

「兄さん、あなたさえいなければ、私はきっと幸せだった……」
少女チェントの波乱の生涯を書くダークファンタジー。
親を失った幼い兄妹は、2人きりで生きねばならなかった。
兄は、日々の苦しさと怒りを妹にぶつけた。妹はただ耐え忍ぶしかなかった。
大人になった兄は名声を得た。妹には何も残らなかった。
そして、彼女は歪んだ。

作品ページあらすじより引用

寸評

レビュー企画第2弾!
MST先生の「Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─」を読ませていただきました!

今回も大変素晴らしい作品に出会わせていただき、まことに感謝しております。

ではさっそく、ご応募いただいたコメントの抜粋からです。

twitterより参りました。初めまして、MSTです。

Evil Revenger 復讐の女魔導士
https://ncode.syosetu.com/n8714ey
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887053912
https://www.alphapolis.co.jp/novel/555470516/113209714
全18話 90,739文字[完結済]
不幸な兄妹が、すれ違い、憎み合い、やがて殺し合いまで至るダークファンタジーです

刺さる人は一気に読めるほど夢中になれるようですが
刺さらない人には何が面白いかわからないとまで言われる極端な作品のようです

過去に酷評を頂いたこともあり、人を選ぶ作品と自覚しております故、作品について思ったことは、率直に全て吐き出して頂いて構いません

少しでも楽しんで頂けたら良いなと、思っております
よろしくお願いいたします

うーん。
1作品目が軽めなノリの作品だったため、今度は正反対の重厚な物語がいいかも。
そもそも、私の嗜好として王道ハイファンタジーや戦記ものが大好物なんですよね。

鬱っぽい作品はあまり好きではなかったものの、濃厚なファンタジー色や人間描写を感じさせるコメントを見て2作品目に決めさせていただきました。

結論から言うと、鬱々としたばかりの内容というわけではなく、それでいて期待通りの重厚なファンタジー作品でしたので、とても楽しめました。

では、詳細のレビューに入りましょう。

さて、本作は冒頭から書いてある通りの王道ハイファンタジー作品となります。
種族間の争いの中で翻弄される不幸な兄妹達の物語が描かれています。

基本的には主人公である妹のチェント視点から物語が描かれており、中盤くらいまでは日記調で現在に至るまでの経緯や生い立ちが描かれています。

オリジナルファンタジー作品の例に漏れず、独自の世界観やら設定やらがふんだんに盛り込まれて(設定厨の私にはたまらないんですが)おり、主人公の生い立ちも紆余曲折を経ているのですが、ここら辺の複雑な事情を日記調にてダイジェスト気味に描写していくことで、丁寧且つ分かりやすく描かれています。

力を入れた設定になればなるほど、作家のひとりよがり的な意味で、やたら説明がくどくなってしまいがちだと思うんですが、なるほどこういった手法もあるなぁと思わされました。

ここら辺、作者さんの上手さが出ていましたね。

中編作品として、全体的にもとてもよくまとまっている作品だと思います。

無駄に長くなく、それでいて盛り上がりどころはしっかりと抑えてある作品。
レビューを書くにあたってあらすじも改めて読み直した時に思いましたが、これもとても分かりやすくまとまっており、作品の魅力や特徴を上手にとらえていると思います。

内容としては、あらすじ通りの兄妹のすれ違いによる、妹の復讐劇が描かれています。
この兄妹はお互い才能や周りの人たちには恵まれているものの、境遇には恵まれず、色々なすれ違いから対立していくこととなります。

これだけ書いていると王道でありがちな展開だと思われるかもしれません。
それは否定しません……が、ところどころ、私は意表を突かれる場面がありました。

特に終盤で、妹に辛く当たる兄の真意が明かされるのですが、それを知った時の妹の反応は……

これが、私的にはとても意外だったにも関わらず、とても生々しく、リアルで、衝撃を受けたシーンです。

この時のチェントの心理描写が、とても丁寧且つ濃厚に描かれていたのが、本当にすごかったですね。

終わり方も素晴らしかったと思います。

こういったダーク系の作品って、主流のなろう系や勧善懲悪な作品と違って、清々しいエンディングにすることって難しいと思うんですよね。

どれだけ内容が秀逸でも、こういった作品が、ラストで「みんな幸せにハッピー!」なんて展開にしたら、雰囲気ぶち壊しになる可能性がありますからね。

その点、この作品は上手に終わらせている感じがしました。
ハッピーエンド…と言えるかどうかは賛否両論あるような終わり方ですが、少なくとも陰鬱な気持ちのまま終わることはありません。
作風に合って、尚且つ私の個人的な希望に沿った終わり方をしており、読後感も悪くありません。

評価にも書いてありますが、この作品に最大の魅力は主人公チェントの変化・成長です。

最初は虫も殺せないし、スプーンも持てないようなか弱い少女だったチェントが……という感じで、壮絶な経験を積んでいくことで成長していき、その心の持ちようも随分と変わっていきます。

そこに至るまでの経過が、とても丁寧に描かれています。
正直、この10万文字に達しない文量で、ここまでの変化を不自然なく描けるのは、単純に凄いと思いました。

兄妹達を引き立てる周りのキャラクター達も、同じくとても丁寧に作り込まれています。
完全な悪者というのはおらず、それぞれがそれぞれの正義や意志を胸に、協力・対立しあいます。

ここら辺の人物描写が、本当にとても素晴らしい。

自分はもう、スキルドというキャラが不憫で不憫で……幸せになって欲しかった。
どういったキャラなのかは、是非本編を読んでみてください。

読んでいる途中で思っていたのが、良くも悪くも「文章や描写が淡々としている」ということ。

ダイジェストで展開される前半部分には、兄からの虐待や両親の死など、それなりに壮絶な展開が盛り込まれているのですが、そういったところも淡々と日記調で描かれています。

確かに1つ1つをイベントとして描いていくと膨大な文量になりますし、「分かりやすくまとまっている」という良い点が損なわれる可能性があります。

ここら辺はどうしてもトレードオフになるので、バランスが難しいなぁ…と思いつつも、もう少し盛り上がる感じに描かれてもいいんじゃないかなと思っていました。
特に、これだけ人物の描写力があるのなら、日記調に書かれている部分も物語にしても充分面白いのでは…と思いましたね。

終盤に入ると怒涛の戦闘シーンがあるのですが、ここでの戦闘描写がとても濃厚で熱いんです。
チェントの心情をふんだんに盛り込んだ重厚な描写で、とても熱いバトル描写が楽しめました。
前半の淡々とした雰囲気からは、考えられないくらいの濃密な描写です。

バトルもこれだけの描写力があるなら…と、なおさら思いましたね。

ただし!
エピローグを読んだ時点で、「あえてそうしている」ということが分かりました。
正確には、「もしかしたらわざと淡々としているのかなぁ」と思って、その旨をなろうの感想で書かせていただいたのですが、案の定その通りだと作家さんからの返信をいただきました。
なるほどなぁ、と思いましたね。

どういうことかは、是非本編を読んでみましょう。

ただ、それでも私個人的に、チェントの恋愛部分の描写はもっと欲しかったですね。
エピローグを読んだ時「いつの間に?」と思ってしまいましたから。
逆に言うと、物足りないと思ったのはそれくらいでしょうか。

レビューまとめ

・王道ハイファンタジーもので、綺麗にまとまった中編作品

・ダーク系の作品だが、結末は陰鬱としておらず、すっきりしている

・人物描写力が丁寧で秀逸。本作品の最大の魅力。戦闘描写も熱くて盛り上がる。

・一部物足りないと感じる部分もあり。もう少し長くても良かったかな。10万文字は超えても良かったかも。

なろうの感想でも描かせていただきましたが……
王道ファンタジー設定、重厚で生々しいキャラ関係、分かりやすい話の展開、読者の意表をつく展開、熱いバトル、暗いテーマにも関わらず未来に希望を感じさせる爽やかな読後感。

ボリュームも程よくまとまっており、ファンタジー好きにとっては気軽に楽しめます。

私から「欲張りセット」の称号を授与させていただきます笑

ラノベ生活は
MST先生「Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─」
を応援しています。

レビューをご覧になり興味を持たれた方はぜひご一読いただき、感想をお願い致します。

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